「メタオブジェクト」とは?初心者にもわかる基本概念と活用例

「メタオブジェクト」とは?初心者にもわかる基本概念と活用例

Shopifyのメタオブジェクトを活用し、データ管理を効率化する方法

Shopifyストアの運営において、商品情報や店舗データを効率的に管理したいと思ったことはありませんか?

この記事では、Shopifyの「メタオブジェクト」機能を使って、プログラミング知識がなくても情報管理を自由自在にカスタマイズする方法をわかりやすく解説します。商品詳細の拡張からFAQ、店舗情報まで、あなたのビジネスに合った活用法を見つけましょう。

この記事でわかること

  • メタオブジェクトとは何か、その基本概念と仕組み
  • メタオブジェクトの具体的な設定方法と表示手順
  • メタオブジェクトを活用した4つの実践例と応用パターン

こんな悩みを解決します

  • 「商品情報をもっと自由に管理したいけど、やり方がわからない…」
  • 「店舗情報やFAQをアプリなしで簡単に更新できる方法はないの?」
  • 「メタオブジェクトとメタフィールドの違いがよくわからない…」

Shopifyの「メタオブジェクト」とは?初心者にもわかる基本概念

Shopifyを使っていると「メタフィールド」という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、「メタオブジェクト」はまだ耳慣れない方も多いでしょう。
簡単に言うと、メタオブジェクトは自分だけのオリジナルデータ構造を作れる機能です。

たとえるなら…

  • ・メタフィールドは「引き出し1つ」(例:サイズや原産国などの情報1つ)
  • ・メタオブジェクトは「引き出しが複数あるタンス」(例:店舗名・住所・営業時間などが一体になった情報のセット)

メタオブジェクトの特徴は、情報をカードのようにセットで管理でき、それをサイト全体で使い回せることです。
例えば、FAQを一度作っておけば、どの商品ページにも簡単に表示できるようになります。

メタフィールドとメタオブジェクトの違い

比較項目 メタフィールド メタオブジェクト
基本概念 既存の情報(例:商品データ)に紐づいて追加できる一つの項目。例えば商品に「色」という情報を追加できる。 既存の情報に紐づかず、複数の情報がセットになっている。例えば「お客様の注文」には注文日、商品名、個数などの情報をまとめて追加できる。
情報の持ち方 商品やページに紐づいて表示(表示箇所が限定的) 必要な場所で参照できる
データ管理 個別に管理(バラバラ) 一括管理(グループ)
活用シーン 商品の素材・原産国などの単体情報 FAQ・店舗一覧・商品仕様表など複数情報の集合体

つまり、メタフィールドが「商品に素材情報を追加する」といった単純な拡張なのに対し、メタオブジェクトは「店舗一覧を作って管理する」といったより複雑でまとまりのある情報を扱えるのです。

重要なポイント

メタオブジェクトは「定義」と「エントリー」の2つで構成されています。
定義は「どんな情報を扱うか」の設計図、エントリーは「実際のデータ」と考えるとわかりやすいでしょう。

メタオブジェクトの設定方法:画像付きで解説

ここからは実際にメタオブジェクトを設定する手順を見ていきましょう。どのような構成でメタオブジェクトを作るのか、設計を最初に考えることが重要です。今回は「イベント情報」のメタオブジェクトを作成し、「イベント会場」、「開催日付」、「開催場所」、「開催期間」の4つの項目を設定します。

STEP 1:メタオブジェクトの定義を作成する

  1. Shopify管理画面で「設定」→「カスタムデータ」を開き、「+定義を追加」をクリックします
メタオブジェクト定義の作成画面

メタオブジェクト定義の追加画面1

  1. 名前とタイプを入力し、「+フィールドを追加」をクリック(今回はイベント、eventを入力)
メタオブジェクト定義の作成画面

メタオブジェクト定義の追加画面2

STEP 2:必要なフィールドを追加する

イベント情報として必要なフィールドをそれぞれ追加していきます。
今回は画像のように「イベント会場」、「開催日付」、「開催場所」、「開催期間」の4項目を設定します。

フィールド追加画面

フィールドの設定

  1. 表示されるコンテンツタイプから適切なものを選択(例:「1行テキスト」)
  2. フィールドの名前とキーを設定します(例:名前「イベント会場」、キー「event.place」)
  3. 同様の手順で開催日付、開催場所、開催時間のフィールドを追加します
フィールド追加画面

各フィールドの設定

設定のコツ

「このフィールドを表示名として使用する」にチェックを入れると、後でエントリー一覧でわかりやすく表示されます。
今回はイベント情報なので「イベント」にチェックを入れます。

STEP 3:エントリー(実際のデータ)を登録する

定義が完成したら、実際のデータを入力していきます

  1. 「コンテンツ」→「メタオブジェクト」へ移動します
    • 先ほど作成した「イベント」を選択し、右上の「エントリーを追加」をクリック
    エントリー追加画面

    メタオブジェクト画面

  2. 先ほど設定した各フィールドが表示されているので、情報を入力します
  3. ハンドル名はわかりやすいものに設定します(未設定だと自動設定されます)
    • 例:「event1」(半角英数字で設定)
    • このハンドル名はテーマからデータを参照する際に使用します
  4. 保存ボタンをクリックします
エントリー追加画面

エントリー情報の入力画面

イベント会場の登録

同じ手順で他のイベント情報を登録していけば、複数のイベント情報を一括管理できます。
一度設定した定義を使い回せるのがメタオブジェクトの大きなメリットです。

STEP 4:ストアへの表示方法

登録したメタオブジェクトを実際にお客様が見るページに表示する方法は2つあります

  1. ①テーマエディタを使う方法(コード不要)
    • 「オンラインストア」→「テーマ」→「カスタマイズ」
    • 任意のセクションを追加し、「動的ソースを接続」アイコンをクリック
    • メタオブジェクトを選択して保存
  2. ②コードを使う方法

    メタオブジェクトは「タイプ(メタオブジェクト定義名)」と「ハンドル(エントリー名)」と「キー(フィールド名)」を使って呼び出します。基本形式は以下の通りです。

    
    {{ shop.metaobjects.タイプ.ハンドル.キー }}
    

    今回のケースだと、テーマファイルに以下のようなコードを追加することで、特定のイベント情報を表示できます(cssは未実装)

    
    {{ shop.metaobjects.event.event1.place }}
    開催日:{{ shop.metaobjects.event.event1.date }}
    場所:{{ shop.metaobjects.event.event1.address }}
    時間:{{ shop.metaobjects.event.event1.time }}
フロント表示例

実際の表示例

メタオブジェクトの4つの活用事例

メタオブジェクトの使い方を理解したところで、ビジネスでどのように活用できるか、具体的な事例を見ていきましょう。

事例1. FAQ(よくある質問)の管理と表示

設定方法:
  1. 「FAQ」というメタオブジェクトを定義
  2. フィールドとして「質問」(単一行テキスト)と「回答」(複数行テキスト)を設定
  3. 各質問と回答をエントリーとして登録
メリット:
  • 管理画面から質問と回答を簡単に追加・編集可能
  • 一度作ったFAQを商品ページやカテゴリーページなど様々な場所で再利用できる
  • FAQごとにハンドル名をつけることで、商品に関連するFAQだけを表示させることも可能

事例2. 商品の詳細スペック表

設定方法:
  1. 「製品スペック」のメタオブジェクトを定義
  2. フィールドとして「項目名」と「値」のペアを複数設定
  3. 商品カテゴリーごとに異なるスペックテンプレートを作成
メリット:
  • 家電製品やアパレルなど、商品ごとに必要な仕様情報を構造化して管理できる
  • テーブル形式での表示も簡単
  • スペック情報の一括更新が可能

活用例(アパレル商品)

  • 素材、お手入れ方法、原産国などを一覧表示
  • サイズガイドをメタオブジェクトで管理し、アパレル商品全体で共有
  • 一度入力すれば、すべての商品ページで統一された表示が可能

事例3. 制作者・デザイナー情報の管理

設定方法:
  1. 「制作者」のメタオブジェクトを定義
  2. フィールドとして「名前」「プロフィール」「顔写真」「SNSリンク」などを設定
  3. 各制作者の情報をエントリーとして登録
メリット:
  • ハンドメイド商品やデザイナーズブランドなどで、作り手の情報を効果的に伝えられる
  • ブランドストーリーを強化し、商品の付加価値を高められる
  • 制作者一覧ページと個別プロフィールページを自動生成できる

応用パターン

  • 商品ページから「この商品の制作者」として紹介
  • 制作者ごとの作品一覧を自動生成
  • ブランドのバリュー向上につながる背景ストーリーの発信

事例4. 実店舗・支店情報の管理

設定方法:
  1. 「店舗情報」のメタオブジェクトを定義
  2. フィールドとして「店舗名」、「住所」、「電話番号」、「営業時間」などを設定
  3. 各店舗の情報をエントリーとして登録
メリット:
  • オムニチャネル戦略を展開する企業にとって効率的な店舗情報管理が可能
  • 店舗の追加・変更・閉店などの情報更新が管理画面から簡単に行える
  • 特定のエリアの店舗だけを表示するなど、柔軟な絞り込み表示も実現可能

応用テクニック

「エリア」と「店舗」という2つのメタオブジェクトを連携させることで、エリア別の店舗一覧を動的に生成することもできます。
たとえば「関東エリア」をクリックすると、関東の店舗だけが表示される仕組みなどが実現できます。

メタオブジェクトのメリットとデメリット

メタオブジェクト機能を導入する前に、そのメリットとデメリットを理解しておきましょう。

メリット

①データの一元管理が可能に

情報の追加・更新・削除がすべて管理画面から行えるため、HTMLファイルを直接編集する必要がなくなります。
非エンジニアでも簡単に情報を更新できます。

②構造化されたデータでSEO対策にも有効

メタオブジェクトで管理された情報は構造化データとしてGoogleなどの検索エンジンに認識されやすく、リッチスニペットの表示にも活用できます。

③保守性の高いストア運営

情報の追加や変更があっても、テーマコードを修正する必要がなく、管理画面からの操作だけで対応できるため、長期的な運用が容易になります。

デメリット

①設計スキルが必要

効果的なメタオブジェクトを作るには、データ構造の適切な設計が必要です。
設計が悪いと後々の運用で不便になることも。

②高度なカスタマイズにはLiquidの知識が必要

テーマエディタでの基本的な表示は簡単ですが、複雑なレイアウトや条件分岐を加えるにはLiquidコードの編集が必要になります。

よくある質問Q&A

Q1: すべてのShopifyストアでメタオブジェクトを使えますか?

A: 2023年にShopifyストアでメタオブジェクト機能が利用可能になりました。
管理画面の「コンテンツ」メニューに「メタオブジェクト」が表示されていれば利用できます。

Q2: アプリなしでメタオブジェクトを使えますか?

A: 使えます。メタオブジェクトはShopifyの標準機能なのでアプリなしで利用できます。

Q3: 一度作ったメタオブジェクトの構造を後から変更できますか?

A: メタオブジェクトの定義に新しいフィールドを追加することはできますが、既存のフィールドのキーや種類を変更することはできません。

まとめ:メタオブジェクトでShopifyストアをもっと自由に!

この記事のポイント

  • メタオブジェクトは複数の情報をまとめて管理できる強力なツール
  • タンスにたとえると、メタフィールドは引き出し1つ、メタオブジェクトはタンス全体
  • FAQ、商品スペック、店舗情報、制作者プロフィールなど、様々な用途に活用可能
  • 一度設定すれば更新が簡単で、専門知識がなくても使いやすい

Shopifyのメタオブジェクト機能を活用すれば、ECサイトの情報管理がぐっと楽になります。
商品情報の拡張だけでなく、FAQやブランドストーリーなど、あなたのビジネスに必要なあらゆる情報を構造化して管理できます。

この記事で紹介した基本的な設定方法と活用事例を参考に、あなたのShopifyストアをさらに充実させてみてください。
情報の管理と表示が効率化され、業務効率が改善されます。

メタオブジェクトについてもっと知りたい方は公式サイトをチェック!

ブログに戻る